あまいもの垂れ流し

書けない人間が書けるようになるまでの記録

登れない階段は素直に下る

街の中心地には小さいながらも百貨店がある。
バブル期の頃からある古い店で、年配者を中心に「良い品を買うならあそこ」と度々話題に上がるところだ。

来たる14日に向けて、最上階の特設会場ではチョコレートショップが多数出店している。
せっかくの休みなのでと足を運んでみたのが、これが間違いだった。


どこもそうなんだろうか。地元の食い気を舐めていた。
チョコレート目当ての人々で、特設会場は大盛況であった。
こんなときでもなければ買えない、高級店・有名店のチョコレート屋に人が並ぶ並ぶ。お嬢様方、なぜそんなに紙袋を抱えておいでなのか。それ会社用ですよね??いや多くない??
久々の人混みで酔いそうだった。暖房はさほど強くないのに、人の熱気でコートを脱ぎたくなる。

どこか目当ての店があるならそこだけ目指せばいいものの、まったく知識なしで飛び込んだため、どんな店が何を出しているのか分からない。
力強い欲望の波に流されるしかなかった。

これは一時間会場を歩き回って気力を使い果たし、結局何も買うことができずにメンタルずたぼろで帰宅する流れである。
判断する理性が残るうちに、会場を離脱した。
出入り口で配布されている会場案内図を掴んでいくことも忘れない。
とりあえず撤退。戦略的撤退。

 

人の少ない方へと歩いて行くうち、着いたのはフロアの端っこ。階段と非常口であった。ここが最上階なので、階段を登れば屋上だ。
うんと小さい頃、祖父母に連れられて百貨店を訪れた覚えがある。
そのときに屋上で遊ばせてもらったような気がする。
記憶では屋上フロアは中心部だけ一段低くなっており、そこに緑の人工芝と、子供用の100円を入れると動く動物の乗り物があった。白い丸い机と椅子がいくつか設置されて、親たちが遊ぶのを見守っていた。

今はどうなっているのだろう。
開放されているのなら、まだ遊具が置いてあったりするのだろうか。
頭を冷やすのにもちょうどいいかもしれない。そう思い、階段を登った。

 

古い重い金属の扉を開けた先にあったのは、思っていたような景色ではなかった。
二十年ぶりに訪れたデパートの屋上は、記憶とまるで違っていた。

人工芝はなくむき出しのコンクリで、遊具は撤去されている。
代わりに背もたれのあるベンチが2つ設置されていた。
周囲をぐるりと囲むフェンスは、子供のころ見たものより一回り高くなっている。これも記憶と色合いが違う。新しくなったのだろう。
見渡す限り人はいない。晴れても風はまだ冷たい。階段の下からフロアの盛況な空気がかすかに響いてくる。

現実に吸い寄せられるようにして、ベンチに腰を下ろした。
改めて辺りを見回す。

低いベンチ。高いフェンス。その向こうに見える、灰色のビルたちの頭。

この広場はこんなに小さかっただろうか。

周辺のビルはこんなに低かっただろうか。
屋上はこんなに、色がない場所だったろうか。

日差しのおかげで、風が吹いても暖かく思えた。
心は反面、井戸に投げ落とされる桶のような心地がしている。
気を紛らわせようと、取ってきた会場案内図を広げたが、店の名前も限定品のおすすめチョコレートもまるで心に響かない。
思わずため息が出た。眉間を揉む。たぶん今めっちゃしかめっ面。
もう一度あそこに戻って、チョコレートを買う気持ちにはなれなかった。

 

案内図を半分に折った。紙にさらに折り目をつけていく。
何回か折ると、かんたんな紙飛行機ができあがった。

立ち上がり、完成品の底を持って、投げつけるようにして飛ばす。
A4の丈夫な紙飛行機は、2メートルも行かずにぼてりと落ちた。
それを拾いに数歩進んだところで、ああ、私は虚しいんだなと思った。

思い出の場所はもう存在しない。当たり前の事実に、心が静かに揺さぶられている。

 

なんだか思考がやたら下向きになっている。冷えたのかもしれない。

地下には飲食店街があった。

そこで温かい珈琲でも飲もう。お腹から温めて、それから帰ろう。

紙飛行機を出入り口にあったゴミ箱に叩き込みながら、一階まで、階段を使って降りることにした。 

 

 なお、地下の食品売り場にて常設している店のチョコレートをゲットした。
有名店のはまた今度。気兼ねなく出かけられるようになったら現地で食う。

 

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進まない原因
Twitterを開いた
・100字で良いと書いたのに「しっかり書かなくては」と力んだ
・期限決めたのが良くなかったのでは
・前回書いたのは休みで充電できたからだよ。今回平日やん
Twitter開いた
・締切と目標(場所と行動)、左右に壁ができたからどっちから超えればいいか分からなくなった
・やらない行動って難しい。練習が必要。
・なーんか面白くないんだけどどこが悪いのかわからん。後日読み直す。
・プロットよりタイムスケジュールが必要。「何時から1時間だけキーボードを叩く」とか。

できたこと
・1500文字超えた
・振り返り(進まない原因)も出した

・平日100字しか進まなかったけど、結局本日22時からでこんだけ書けた