あまいもの垂れ流し

書けない人間が書けるようになるまでの記録

特にオチはない

リサイクルショップ、質屋、骨董品屋。
どう呼ぶのかわからないが、中古の食器や雑貨などを取り扱う古びた店で、カップを手にする夢を見た。

店内も品物もどことなく埃っぽくて、照明もあまり明るくない。点いていなかったのかもしれない。それでも手元が見えるのは、ガラスのはめられた引き戸から店内へ、光が入ってきていたからに違いない。外の様子はわからなかった。意識しなかったし気にもならなかった。
古い木戸のガラスには現代にはない歪みが感じられ、外界と店内とをへだててきた年月が感じられた。

膝よりうえ、低めの台のうえ。板で区切られ、紺の布が敷かれ、並べられた食器類。
奥に、やはり背のひくい棚が置かれて、いくつか茶器が並んでいる。
手にしたカップは取っ手のない口のひろい茶碗だ。お客様に上等のお茶をお出しするときのような。

あとから調べたら汲み出し茶碗とよぶらしい。
白地に朱色で、WEBで猫マンガを連載している方の、コミカルなイラストが描かれている。

この夢は珍しく、触覚があった。
私が夢を見るときはたいてい視覚だけだ。音を聞いたり匂いがしたりという覚えはほとんどない。
それなのに、茶碗を手にとった感覚があった。つるりとしたつめたい、薄手の磁器。

底にシールが貼られていたのか値札が置かれていたのか定かではないが、
「3800円か……ちょっと高いな」と考えたのは覚えている。
結局買わなかった。

私は前にもここに来たことがある。もちろん夢の中でだ。
そのときもこの湯呑を手にとっていたように思う。
欲しかったのに即買わなかったことを後悔しているのかもしれない。

 

夢には続きがあった。
同じ店内に、以前やっていたオンラインゲームの、キャラクターをイメージしたお香セットが売っていた。
何人かのキャラクターが黒くて平べったい箱蓋に描かれ、キャラの色をした棒状のお香が、数本ずつ、仕切られた箱の中に行儀よく並んでいる。
そんな商品が出たとは聞いたことないので、私が勝手に想像したものだろう。

夢は、脳が記憶を整理するために見ると聞いたことがある。
その日、私はTwitterで香水やらアロマキャンドルについての呟きをちらりと目にして印象に残っていた。そのためかもしれない。
こちらは買おうとも迷わなかったし、値段もみなかった。