あまいもの垂れ流し

書けない人間が書けるようになるまでの記録

0311

流行りものを追うのが嫌だった。

漫画もアニメもゲームも、「今大人気の!」という紹介を見るとそっと引き下がってしまう。

周回遅れで、「大人気」の話題がほかの作品に移ったころに、ひっそりと手を出す。

きっと「流行りだから」と飛びつくのは格好悪いとか、そういうことを根っこに抱えているんだろうな。と、あまり深く考えなかったのだが、今日、唐突に答えを知った。

 

小学校低学年のことだ。
教室の片隅。黒板のすぐ脇で、クラスメイトと縄跳びをしていた。

体育ではなかったが、なにかの授業の一環だった。制服のままだったからだ。
休み時間ならわざわざ教室の、正面黒板の脇なんて狭いところではなく、廊下でやるはずなので。

縄跳びはひとりではなく、数人で飛ぶやつだった。
ひとり入ってはひとり出て、入っては出て。その繰り返し。
飛び込むときに「いーれーて」と声掛けをして、「いいよー」って言われて入って行った。
私も入ろうと並んでいた。
ところが、私の番が来て、声掛けしたときに拒否られた。
なぜ拒否されたのかは、残念ながら覚えていない。
どういった言葉で拒否されたのかも、思い出せない。

当然来るはずの自分の番が断られて、ショックを受けたんだと思う。
私は角のほうを向いて少し泣いて、「入れて」がダメならと、「混ぜて」と言って、無理やり入っていった、ような気がする。


ずっと昔のことで、記憶はあいまいだ。
それでも、風呂上りにぼんやりと体を拭きながら理解した。

流行りものに飛びつきたくない、の、あれが答えだ。
「皆が楽しそうにやっていることに混ざろうとして、拒絶された」

 

だから私は人が集まるとしり込みするんだな。

思い出すことは年々少なくなっていったけれど、あの出来事はふんわりと覚えている。
けれど、こんなに行動を阻害するほどの傷だったとは思わなかった。

 

周回遅れで手を出すのは、落ち着いたころなら、初期にわいわいやってる人がいなくなって自分が否定される可能性が減るとか、そういう理由なのだと思う。